<土手下の住宅>
HOUSE UNDER THE BANK
高梁川の東側にあたるこのエリアは、豊かな水に恵まれ昔から水田が拡がり、焼杉に漆喰壁の農家住宅が点在していました。近年幹線道路が整備され、市中心部へのアクセスが便利になったことにより、急速に住宅が立ち並ぶようになりました。この敷地は南北に住宅が迫っていますが、西側の土手方向には大きく拡がりがあり、この拡がりを住宅に取り入れることを端緒に設計を進めました。黒の下屋部分には水廻りを集め、また白の2層部分には各居室を集め、中央の吹抜け空間を介して南北明快に分けています。延床約28坪程度とやや小さめの住宅ですが、中央に大きな吹抜け空間を作ったり、各部屋をあまり間仕切らずに開放的な作りとすることで、28坪とは思えない程の拡がりを感じれるようにしています。外観はこのエリアに昔から佇む焼杉に漆喰壁の住宅の外観を踏襲し、歴史の延長線上に位置するデザインとしています。
This area on the east side of the Takahashi River is blessed with abundant water and has long been home to extensive paddy fields, dotted with burnt cedar and plastered farmhouses. In recent years, highways have been improved and access to the city center has become more convenient, resulting in a rapid increase in housing. This site is lined with houses on the north and south sides, but there is a large expanse in the direction of the bank on the west side. The black lower roof part gathers the plumbing, and the white two-story part gathers each living room. It is a rather small house with a total floor area of about 92 square meters. The exterior follows the appearance of a house with burnt cedar and plastered walls that has been standing in this area for a long time, and is designed to be an extension of history.
高梁川の土手下に位置する敷地。周辺の住宅は南側に主要な窓を配置しているが、この住宅は拡がりのある西側の土手に対して主要な窓を配している。
西側の土手からの眺め。東面と西面中央に大きな開口部を設け、東西に視線が抜けるつくりとしている。水廻りを黒の下屋に集約し、各居室を白の2層に集めている。
東側アプローチの様子。下屋の軒の出を大きくし、玄関廻りに雨除けスペースを大きく確保している。
玄関を入り吹抜けを見上げた様子。漆喰仕上げの白壁上部に現しの垂木が見えている。
玄関土間からキッチンを見る。窓の向こうには土手の斜面が見える。
ダイニングの様子。バーチカルブラインドで外部からの視線と日差しを適度に調整している。
ダイニングからキッチンを見た様子。キッチンの左がパントリー。奥が洗面室。
ダイニングから見上げた様子。余白としての白の漆喰壁。
二階ご主人の机。吹抜けに面しつつ、西側の土手方向にも視線が抜ける気持ちの良い場所。奥は子供室への入口。
ご主人の机からダイニングを見下ろした様子。1階と2階が一体的に感じられる。
ご主人の机から吹抜けへの眺め。漆喰壁にプロジェクターで投影して映画を見る計画。
家族共用の勉強机。吹抜けに面して開放的な設え。
共用机から土手方向を見た様子。吹抜け周りに家族が集う姿が想像される。
子供室から吹抜け方向を見た様子。
洗面室と脱衣室の様子。鏡の上下に窓を設置し、日中は照明なしでも気持ちよく使用できる。洗面カウンター下部は建て主が既製品の収納等を置く予定。
ハーフバスの浴室。腰上は桧板張りに大きな窓を設置し、浴室を使用していない時間帯は、浴室経由で洗面室や脱衣室に光を取り込めるようにしている。
敷地南西側からの眺め。北側の住宅よりも建物高さが1m程低いが、内部空間の拡がりは十分に感じつつ、外観のプロポーションを整えている。